すぐに始めたいユニバーサル対応
多様性社会で必要なユニバーサル対応
ユニバーサル対応という言葉から、障害者のための福祉という印象をお持ちの方が多いと思います。 しかし、ユニバーサル対応とは、体の不自由な方、小さいお子様、ご高齢の方、LGBTなど、 全ての人が社会の中で気持ちよく生活していくための、多様性に対する取り組みなのです。 「障害は人にあるのではなく、環境にある」ということを念頭に、積極的に取り組んでいきたいものです。 障害に対する理解 障害には、外見からすぐにわかる障害もあれば、全くわからない障害もあります。 主として、以下のようなものが考えられます。 ・肢体不自由 ・視覚障害 ・聴覚障害・言語障害 ・知的障害・発達障害・精神障害 ・内部障害・難病・慢性疾患(ペースメーカー、オストメイトなど) ・加齢に伴う障害などです。 それぞれの障害の症状について、どのようなことに不便を感じるのかなど、理解しておくようにしましょう。 少しでも知識と情報を得ておくことで、実際に接した際に配慮すべき点に気づくことができます。 また、障害を理解することにより、対応方法も工夫することができます。 何をすべきか --- ハード面 どの施設も、段差をなくし、手すりを設置し、ユニバーサルトイレを完備し、点字案内や字幕表示があるのが理想的です。 しかし、全てを完璧にすることはできませんし、完璧を求めることは現実的ではありません。 公共施設には、これらを整えていく努力を希望しますが、宿泊施設や飲食店などでは、できることから始めていく姿勢が大切です。 まずは、どんな不便があるのか、ご自身の施設をチェックしてみてください。 入り口の小さな段差、ドアの重さ、通路の幅、テーブルや椅子の高さ、文字の見易さなど、特に高齢者が使いやすいかという観点で考えて見るとよいと言われています。 なぜならば、高齢者というのは、肢体不自由、聴覚言語障害、視覚障害、内部障害など、身体的障害とされていること全ての不自由を多かれ少なかれ持っていて、 障害者のニーズを統合した存在であるからです。 また、チェックして出てきた不便な項目ごとに、どんな解決方法があるか考えてみましょう。 家具の移動や、文字を大きくするなどで解決できることは、すぐに実行に移してください。 すぐには変えられないハード面については、スタッフの手助けや備品などによって、どのようなことができるか、対処方法を考えておくことが大切です。 そして、チェックをした結果、不便だと思われる設備面の形状など、バリア情報の公開を心がけましょう。 バリア情報の公開によって、事前に利用者は心構えができます。 ホームページ、パンフレット、動画などで示しておくとわかりやすいでしょう。 例えば、入り口には何センチの段差がある、室内に階段がある、浴室の入り口の幅、浴槽の高さなどを調べます。 その結果を、具体的な数字を入れた図面・写真などで明示すると伝わりやすいと思います。 また、提供できる備品などがあれば、その情報も提示しておきましょう。 そうすれば、バリアであるかどうかの判断は利用者自身で行えます。 施設側が無理だと思ったことでも、実際にはクリアできるバリアであることも多いのです。 どのように向き合うか --- ソフト面 宿泊施設や飲食店などにバリアを乗り越えて来た人は、普通の人と同じです。 そのホテルからの景色や雰囲気、美味しいお料理など、非日常を楽しむためにいらしています。 多少のバリアがあったとしても、クリアできればよいのです。 それよりも大切なのは、そこでの心地良さや、どんな思い出が残せるかということです。 まず、何よりも大切なのは、コミュニケーション。 相手に尋ねるという姿勢です。 その人にとって、何がベストなのか、どうしたいのか、どうしてほしいのか。 目の前の方が何を求めているのかを、直接ご本人に伺ってください。 例えば、車椅子の方がレストランで車椅子のままテーブルに着くとは限りません。 レストランの椅子に移って召し上がることを希望される場合もあります。 また、どのように対応したらよいのかわからないことは、当事者に確認することが大切です。 勝手な憶測で悩むよりも、当事者に聞いて、一緒に解決策を考えることが一番です。 一緒に考えることにより、受け入れる側、受け入れられる側の双方にとって良い結果が生まれます。 また、手助けをした方がよいのかどうか、迷うときもあるかと思います。 そんな時は、迷わずに、まずは行動(聞く)しましょう。 もしも手助けを断られた場合には、さりげなく見守ることも一つの大切なサポートです。 設備的にユニバーサル対応が整っていなくても、自分たちに何ができるか、常に考え工夫することもユニバーサル対応です。 受け入れたいという気持ちを持っていくことが、何よりのユニバーサル対応になるのではないでしょうか。